「ちびかん」が、いつになく周りをキョロキョロしている。そう、今日は転校してから始めての父兄参観日である。
いつもなら活躍した姿をお母さんに見せる場面ではあるが、残念ながら今日は「ちびかん」が苦手の体育の日。落ち着きなくキョロキョロしていたのである。
「やったぁ!」と思いきや、跳んだ後に親父の姿は見えなかった。
折角、跳べたのに・・・・でも、「ちびかん」は親父が来てくれただけで嬉しかったのである。それでいいと思った。
それ以来「ちびかん」は父兄参観日に親父の姿を見る事はなかった。そしてそれが、たった1度の記憶であった。
しかし、いつまでたってもお母さんの姿は見えなかった。
何時の間にか「ちびかん」はホットしていた。
そんな気持ちでいたのもつかの間「ちびかん」の目に信じられない姿が写った。
幼稚園から小学校6年の現在まで、一度も父兄参観日に来たことがない親父を見たのである。「ちびかん」はよりによって、一番苦手な体育の授業にと舌打ちした。
「何でよりによって、こんな日に親父なんだよ!」
そんな事を考えている間に「ちびかん」が跳ぶ番がやってきた。
いつも跳べない跳び箱だったけど、やけくそになった「ちびかん」は思い切って走った。
すると、初めて6段の跳び箱が跳べたのである!!